電撃かたつむり通信(仮)

人生リハビリ日記。改題タイトル考案中。

……科学のある部分だけを取り出してみれば、たしかにそれはオートノマスな発展をとげているようにみえる。そのようにせまく区切ったときに現われる自律的発展は、近代科学に本来そなわった性格ともいえる。しかし、そういう個々の部分をはなれて、科学の全体を歴史的にみるなら、科学の全体として向かう方向、その前線の配置は、どうみても社会的条件によって規定されているのである。支配的な社会的要求、インセンティヴがどこにあるかによって、科学のさまざまな分野に向かう人、物、金の動きは強く影響される。

(廣重徹『科学の社会史』)

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公共空間とか (2008年10月20日)

 アーレント絡みでちょっと気になった文章をクリップ。
なかなか書けないでいる齋藤せんせいの『政治と複数性』についての感想文との関係でいえば、たしかに、かつてアレントとハーバーマスを比較していた齋藤せんせいが、いつのまにかハーバーマスとロールズを比較するようになったということはいえるのでしょうね。あと、ある意味で、アーレント研究ばかりが流行ることを可能にしたある種の動向――表現は難しいのですが、政治を経済的な利害の領域から切り離して論じたがる傾向(〈活動〉としての政治の優位?)とでも呼んでおきましょうか――への反動といえるのかもしれません。フーコーに対する関心のありようも根本的に変わってしまったわけですし。

D's BLOG 2008/10/1「……目が離せなくなりそうだ。」

 アーレントの浩瀚な伝記で知られる著者のヤング=ブルーエルは、彼女を祭り上げるようなそんな風潮に異議を申し立てる。アーレントはファシズムやスターリニズムと戦った輝かしい過去の人物ではない。21世紀のいま、全体主義の根はいまだに残り、消費社会と技術社会のなかで、かつての革命がめざした新しい政治のかたちは窒息しかけている。さらに誤った思索と判断が世界の対立を激化させ、人類の将来を危うくさせている。だからアーレントの課題はいまも未解決のまま残されているというのだ。
(略)
 恣意的なイメージの押しつけが想像力にとって代わり、計算が判断にとって代わるときに、生活から政治は奪われる。想像力とは、他者の観点から世界がどのように見えるかを理解する能力にほかならない。そして判断とは現実に注意深く立ち向かい、それに抵抗することだ。思考をもたない生物になるなと、アーレントは口を酸っぱくしていう。柳田国男流にいえば、混迷を極める現代の政治状況を打開するのは、こうした「妹の力」なのかもしれない。

海神日和 2008/10/19「なぜアーレントが重要なのか [本]」

 〈労働〉や〈仕事〉から〈活動〉を切り離すのか、それとも〈活動〉を通して〈労働〉や〈仕事〉の問題を指向するのか。そもそも〈労働〉や私的空間は、他者への想像力を最初から断念させられることがアプリオリに運命づけられている“場”なのか。

 直接アーレントに言及しているわけではないけれど。
……今日は都市環境学部准教授饗庭伸先生のインタビュー。(略)……個人的に面白かったのは、人口縮小が進むと「だれのものでもない土地」が広がっていくという話。土地というのは、基本的に所有者がいるものだが、人口縮小が引き金になって、土地所有の放棄が起こってくるかもしれないということだ。比喩的に言えば遺棄。アガンベン風に言えば「ゾーエー」としての土地が、国土のそこかしこにぼこぼこと穴が空くように出現してくるのである。ぼくは、しかし、だからこそ、こうした誰にも相手にされない土地に、希望を感じる。もしかすると、こういう土地こそ、全うな意味での「公共」の空間となりうるのではないかと思うからである。ゾーエーの土地論、あるいはそれを公共スペースへと反転させること。

雑誌『談』編集長によるBlog 2008/10/7 「だれのものでもない土地」が広がっていく未来

『ドラえもん』で子供たちの遊び場としてよく登場する、土管が転がっている用途不明の空地を思い出す。厳密にはどこかに地権者のいる造成地なのだろうけど、子供たちにとってそんなことは関係ない。そのような利害関係は、空地をもっぱら遊戯の空間とする子供にとっては、自分たちの認識世界を超える「超越的な」レイヤーの話なのだ。
 私的・経済的利害を伴わない「ゾーエー」としての土地とは、人口の縮小=地権者の生物的な死という自然の必然的運命、言い換えれば超越的な「神の手」によって、土地にまつわる経済的な利害が人間の認識世界から取り払われた後でないと成立しないものなのだろうか。

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